ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年9月19日日曜日

Kurau Phantom Memory #12 いまここにいる

  • 爆天 コレクターズ・セット / Kurau DVD 1a / 新居昭乃 4th CD 『エデン』
  • 君望 DVD / Kurau DVD 1b

 「お父さん, Kurau にはわたしが付いてる. Kurau はわたしが護る.だから,何時か戻ってくるから. Kurau を連れて,必ずお父さんのところへ帰ってくるから.だから……」 © Christmas.

 束の間の聖家族.天箕家に戻るんじゃなくて,行く先はなんとサナトリウムだった.『魔の山』かと思ったら『束の間の山』…… 噫乎,寒.

 天箕博士に『うちの娘たちです』と紹介されて頬を染めている Kurau と Christmas,同じベッドで寝てる Kurau と Christmas の寝顔.こういうちょっとした微笑ましいシーンの積み重ねが楽しい.

 新興宗教 Kurau 教, Kurau 奇跡を起こしてキリスト化.このシーンでは珍しく OP のインスト (ヴォーカルの代わりにアコギで,バックは同じかな. CDS には収められていないもよう) 版が使われている.つつましやかだが,だからこそ大切な幸せの時間,ささやかな希望といった感じにぴったり.

 なるほど,既存の秩序の範疇からはみ出すものであり,「いいえ」一派を形成したアグレッシヴな急進派なわけだな.キリストの最大の発明は裏切り者を作り出したことだが,ダグはともかく,対立の最先端にいるアヤカも,その突出性ゆえに GPO を裏切らないとも限らない.それともあくまで対 Kurau のポジションを堅持するのかな.ただ,キリストが発明した裏切り者は,キリスト自身を裏切ったのであり.それゆえに十字架に掛けられて復活することで自らとともに裏切り者をも永遠のものとしてしまったのだが,こちらは,まだはっきりそれと判る人物は出てきてない.元 GPO のダグは GPO を裏切ったとは言えんだろうな,やはり.辞めてフリーのエージェントとなってから, Kurau に接触してきたわけだし.アヤカはそうは思っていないようだが (笑). GPO に捕らえられたダグは, Kurau 側にいる己のポジションを崩そうとはしていないし,たぶん,崩さないだろう.天箕博士が Kurau を裏切る? それはあまりに悲惨過ぎる.

 ほんとに束の間の聖家族.せっかく三人揃ったのに.まぁ,もう半分まで来たし,ここでまた幸福な時間を描写しても,「うみすずめ」で過ごした島の暮らしと同工異曲であるから冗長だと判断したのかも知れないが,家族が揃ったんだから,もうちょっと幸せな時間を過ごさせてやっても佳かったんじゃないかという気がせんでもない.そう思わせるのが狙いだと頭では判ってはいても身体は正直だ (笑).

 ミオルさん も書かれていたが (KURAU #11「呼び合う声」, KURAU #12「いまここにいる」),版の違いを問わず,劇中で『Moonlight』が流れてくると平常でいられなくなる.しかも,流すシーンは測ったように感情的に昂るシーンで,もしかしたら毎話流れてるんじゃないか.ここでは,天箕博士に身体を返すことがつまりは Christmas を一人で残すことになってしまうことに引き裂かれて泣き崩れる Kurau のシーンと, Kurau の奇跡が間に合わず野中ミドリさんが昇華してしまうシーンの 2 回使われている.これは反則だろう (笑).前者では, Kurau の慟哭を耳にして部屋に入ることが出来ずにドアの前で佇んでいる Christmas, OP インスト版の直後から流れ出す後者は,この場で坂本 & 野中のカップルと天箕聖家族の二組の別離を支配するだけでなく ED に繋がっている.急展開のあおりを受けて,絵の方はエンディングを侵食している.

 絵もそうだが,前に何度も 書いた けど,この作品における音楽はほんとに強力だ.他の部分は知らん (笑).

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