ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年8月19日木曜日

忘却の旋律 #20 pt.7 東京駅 太陽んでいる

  • 忘却 DVD 1e / 忘却 DVD 2a
  • TBS Anime Festa 2004 / ゆめりあ DVD 5

 「死んだ世界にいることを思い知れ」 © エレクトリックしーぷ (安藤ヨウスイ).これも第一主題の関連モティーフだな.このぽえみぃの中の人の台詞で,ふと思い付いたんだけど,エンディングはまさかアラン・パーカーの『小さな恋のメロディ』みたいにはならぬだろうな.まぁ,そうなったらなったで「二人の行き先は地獄」 © 大槻ケンヂ ということにしとくけどね.

 タルいので箇条書きでだらだらと.でも,たらたら書いていてもそのうちノセられてしまうのがこの作品の怖いところだな.でも,その「たらたら」を読まされる方はエエ迷惑だよ.

  • ココが誘拐された総理大臣の娘ってのは,何の捻りもなく真実らしい.総理は SS に狙撃され,娘との感動の再会を果たして絶命.死の直前,ココを娘でかつメロスの戦士と認めた時点で「まほろば」の所在と動かし方対処を伝授する.
  • 地下にある「まほろば」は二十世紀戦争終結時,廃棄処分されるアイバーマシンの部品で改修された.が,電気羊たちがエネルギーを喰って封印している.電気羊を操っているロボット怪獣を倒せば動かせる.
  • 「まほろば」はエネルギーを注入すればすぐに動き出すが,行きっ放しで二度とこの大地には戻って来ない船だ.
  • 「わたしも,わたしの立場で人々を護ってきたつもりだ」 © 総理 & モンスター・キング S III 世.
  • モンスター・キング S III 世は,ここでは不可視の存在? 黒子またはプロンプターなのか? はたまたギリシア悲劇の合唱隊のように状況を説明する役目なのか.
  • スカイブルーの解説.「(「まほろば」は) ただ宇宙要塞のドッキング・パーツとしてのみ改修されたようです.宇宙に飛べても大地に戻ってくる機能はもうないんでしょう.だから,「まほろば」に乗って出撃すれば,もう二度とこの大地には帰って来られないかも知れないんです」.
  • ヒカリを連れて喜々として出撃準備に励むココ.荷物持ちのヒカリの表情が可笑しい.
  • ヒカリの解説.「アイバーマシンで大地に戻る場合高域空間に干渉する.それは平行世界に次元移動する危険を伴う.戻ってきても元の大地じゃないかも知れない.この大地に残るものとは永遠の別れになる」.くるくる廻ってココの決意.「だから一緒に行くの.わたしにはあんたたちしかいないんだから.にゃ〜〜ん」.この身軽さがココの身上だね.
  • 高域空間って,アレですか,スーパーツィーター追加するんならそれなりのシステムでないと意味がねぇ,ってこと? 違いますってば. #03 pt.2 白夜岬 編 白夜岬 あたりの CM でやってた JMlab Grand Utopia 辺りに追加すると楽しいかもね.エエ加減そっち方面から離れろよ.
  • 彦山絵市画伯,環状線に出現.林檎を齧ってみせて,昔の許嫁である遠音の呪縛を解く.「食べてしまえばなくなる.食べずに残しておいたって,けっきょくは腐ってなくなっちゃう.だったら,美味しいときに食べるのがいちばんだ.そうでしょ?」.ココの「生きる阿呆に死ぬ阿呆,同じ阿呆なら生きなきゃ損損」と同じ.画伯はメロスの戦士支援組織所属.
  • 遠音がココ化.とりあえずスカイブルーに乗って出撃する決意を固める.ただ,なんだかはぐらかされたようで,その理由は佳く判らん.スカイブルーの翼を飛べない翼にはしない,ということだが.
  • さて,どんじりに控えしはボッカと小夜子.あ〜,せっかくサイド・カーがあるんだから乗せてきゃエエのにと愚考するのだが,なんかできないわけでもあったんだっけ.
  • チャイルドどらごんからエレクトリックしーぷに A 級指令発令.「今そこにいるメロスの戦士はすべて抹殺してくれ」.
  • Engine II 改め「コドモ大トカゲ」がすでに始動しているので,すぐにも「まほろば」を動かすぞ,んなことさせるかというわけで,エレクトリックしーぷが駆動する大量のダムガ群を従えた羊頭型ロボット怪獣出現.いつもの音楽ではなくて SE のみというのが,よけいにそのデカさを彷佛とさせる.
  • 戦闘の背景に鳴るのは,これまたいつもの音楽ではなくて,小夜子とボッカのそれぞれの手紙の朗読.音楽は弦を主体にした流麗な歌う旋律.そのうちピアノも加わるといくぶん Jazzy な感覚も加わる.こういうポリフォニックな展開は,けっこうエエね〜.まだ二声部だけだけど.視線を放させてくれませんな.
    • 月乃森時子さんは黒船さんの奥さん!
    • 永遠の別れを覚悟し,せめて今生の思い出にと,どこから調達したんか判らんがウェディング・ドレスを着込んで偽りでも佳いから結婚式を望む小夜子.けっきょくボッカは小夜子の望みを叶えてやれんのだが.まぁ,そのままボッカと結婚しても黒船さんと時子さんの関係を繰り返すだけだから,それを避けるためにはボッカに戦士を廃業してもらうしかない.さすがにそれは無理だと悟ったからだが,いじらしいね.
  • 羊頭といえば狗肉なので,三者同時の立体攻撃であえなく沈降する羊頭型ロボット怪獣.沈黙すると光が射して,忘却の旋律が見守る中,「まほろば行き特別列車」.ウェディング・ドレスで走る小夜子.小夜子がホームに現われると同時に姿を消す忘却の旋律.発車のベル.このときの音楽は,なんと各部冒頭で繰り返される忘却の旋律の語りのバック,メロトロン調の木管が奏でる鄙びた旋律.サントラでいうと "The War of 20th Century" だ.音楽が盛り上がると姿を見せる巨大な「まほろば」.ウテナ劇場版の多輪城ほどではないが,なかなかのインパクト.小夜子の叫びを後に飛び立つ「まほろば」.

 と,まぁこんな感じである.さて,彼らは宇宙にカッ飛んで行ったわけだが,残されたわれわれもぽか〜んとしてると,直に次回がやってくる.ま,TBS では 次週はお休み だけど.

小夜子にまつわるいくつかの話

 締めが締めだったんで,クンドリー化したり感情を爆発させたり愁嘆場を演じたりと三面六臂な大熱演の第 7 部「東京駅 編」は featuring 小夜子といっても佳いような展開だったが,振り返ってみれば初めの方の狂言回しから,第 4 部「猿人湾 編」,第 6 部「幸運河 編」では「囚われのお姫さま」,第 5 部「迷宮島 編」では「待つ女」と,少なくともボッカにとっては各部の最終目標になっていた.これを前回は第二主題といっていたわけだが,そのまま敷衍すれば第 7 部「東京駅 編」は第二主題の展開部であったということになる.その結果,展開された小夜子はどうなったか.

 まず,「母性」が加わったんじゃないかと思った.暗い羊水の中から明るい現世に現れ,母なる大地を飛び立って外の宇宙空間に出て行った三人と五体は,小夜子の子どもになったんじゃないか,と.小夜子は形だけでも佳いから結婚式を望み,ボッカは形としてそれを蹴ったけど,矢に託したメッセージが現すものは,ボッカと小夜子の結合なのではないか.この場合,ボッカは小夜子の子であると同時に夫でもある.萩尾望都の『スター・レッド』のラスト・エピソードとか,『ヤミ帽』のラストみたいな感じ.これの欠点はソレらしいシーンや,暗示させるシーンが見当たらないこと. お伽草子 #07 万歳楽 ぐらい明らさまなら判りやすいんだけど.ただ,「まほろば」へ向かう三人が小夜子に敬礼するのは,露骨に「出征」のイメージだ.その敬礼を受けるのは明らかに日本の母親だ.

 次いで,「待つ女」の変形として「待つ妻」というイメージ.これはもう,ペーネロペイアしか考えられん.ただ,夫オデュッセウスの帰還を待つ間のペーネロペイアは,孤閨を守ったのではなく, 129 人の求婚者すべてと交わってパーンを生んだという暗い噂もあるそうだ.それはともかく.「待つ女」に「訪問者」というキーワードを組み合わせれば,いろいろ面白い展開が可能だ.

 いずれにせよ,小夜子は「放蕩息子の帰還を待つ母」,「岸壁に立ち竦む母」,「夫の帰還を待つ妻」などというイメージを新たに身に纏うことになる.これは,けっきょく「囚われて解放を待つお姫さま」のイメージを増幅するに過ぎないのだろうか.

 しかし,小夜子がそのまま簡単に背景に退くだろうか.大地にはまだ黒船さんがホルさまと闘っている.黒船さんやホルを騙くらかして,ボッカ追跡に飛び出してきそうな気もするが,あと 4 話という構成からすると,それはあり得ないか.

 ともあれ,当面小夜子が表舞台から消えて奥の院に所在を移すとなれば,第 4 部「猿人湾 編」〜第 7 部「東京駅 編」 12 話に至る第二主題部には二重線が引かれるはずで,次からは新しいパートが始まることになる.実質的にこれは結尾部になるだろうが.全体の 1/6 という分量は結尾部としてはけして大き過ぎることはない.ま,最終的には小夜子も鎖から解放されるだろうな.だが,それでもまだおれ自身は小夜子を完全に信用しているわけではないのだが.

 と,まぁ,この雰囲気で次回予告を作ってくれれば収まりが佳いのだが,この曲者揃いのスタッフがそんな予定調和に満足するわけがない.んで,ブチかましてくれましたよ,エエ.そりゃもう小気味佳いほどに.

まだまだやりますいかせますボテの鬘も被ります

 次回予告.わははは,なんじゃ,こりゃ〜〜! せっかくのエエ雰囲気がダダ崩れ〜.「バイオ・コンツェルト ジェル」ってなんだよ.生物協奏曲? じゅるじゅるな影絵はなんだよ,ボッカ全裸で何やってんだよ,ティンパニ叩いて弾込めか〜,ベースでブン殴ってカンチさまか〜,んで極め付けがディスカウントうり坊が操る猪型ロボット怪獣か.制限時間は最大 37’33" だって.でも,いちばん可笑しいのは,ココがアイバーマシン形態のヒカリのお尻 (らしき部分) を矢でピシャリと叩くところだ.意味ぜんっぜん判んねぇ〜.おお,まだまだやってくれるんだね!

 「コンツェルト」か.ドイツ語読みなのね. 37rsquo;33" といったら LP 両面サイズだな.ケージにはこの時間指定はなかったが,古典派なら中〜大規模な声楽曲がこれぐらいの演奏時間を要するだろう.というわけで,「タルい」などと愚痴ってる暇はないのである.つねに予定調和から斜め上方に 28 度ズレつつある『忘却の旋律』,まだまだ行くよ〜.あ,ラスト・スパートか. 主題か規則か ってぇのはまだお預けね.もし主題になるのならコーダ部で新たに現われるテーマってことになるな.古典派ではよくあるパターンだ.

更に追記:2004.08.20

 ミオルさん へびのあし@ココログ の指摘.

メロスの男性戦士は、待ってくれる人がいるから飛べる。女性戦士は一緒に飛ぶ人がいて飛べる。 うーん。なかなか意味深です。

[ 書けるうちに。:忘却の旋律#20>(^-^) より ]

 オブジェクト (目的) 指向とプロセス (過程) 指向ってことなんだろうか.難しいです.オープンソースは後者だけどね.

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