ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年9月2日木曜日

忘却の旋律 #21 pt.8 圏外圏 圏外

  • 忘却 DVD 2b / 忘却 DVD 3a
  • TBS Anime Festa 2004 / ゆめりあ DVD 6

 「もう〜,もう〜」 © 4 号 (?) ナナミ牛 (ナナシ牛).だ,だめだ,ナナミ牛連想しちまって,そこから動けねぃ (笑).

 とうとう第 8 部に突入.冒頭に「忘却の旋律」の語りが入るのはいつもどおりだが, BGM が変わった.今まではメロトロンというかブロックフレーテがテーマを奏でる "The War of 20th Century" だったのが,ボレロ調のマーチ "A Last War" になった.そうそう,「色彩設計 (Colour Key)」って具体的にどんな仕事するか知らんのだけどさ,店橋真弓さんって,劇場版『ウテナ』でも色彩設計の担当ですな.製作も同じ J. C. Staff だし.というのに 先頃 気付いた.あ,美術監督の小林七郎さんも共通しているのか.

 ずっと以前,第 2 話の頃 に書いたが,ここで再確認しておこう.

今期最高のギャグものだと認定してしまおう.

 宇宙空間.かつて,これほどまでにバカ (むろん褒め言葉) な宇宙空間での戦闘があったであろうか*1.もう最高です,脱帽です,平伏三拝します,参りました,許して,優しくして (笑).土下座ものだ. 前回 の締めがメロドラマ方面での最高峰とするなら,こちらは現在時点でマヌ〜 / シュール / ぶっとびぃ〜 (これは死語だな) 方面での極北ではないんかぃ? いやぁ,こんな作品を観ることができるなんて,幸せです.あまりの法悦にえじゃきゅれいしょんしてしまいそうです.スクリャービン万歳!(これは違う),ジークハイル,ヴァーグナー!(もっと違う).

 頭の CM が終わると,例によって「忘却の旋律」の語りなんだが,画面ど真ん中に縦書き明朝体でデカデカと「第一幕」と出るんだよ,ほんでもってほんまにするすると緞帳が上がっていくわけだ.もうこの時点で手を打って喜んじゃったね.このブチかましというか強烈な張り手というか,もう「キミタチ,サイコダネ」 © John Wetton.

  • この,どことなくパーンのような動きを見せる妖し気な紋次郎少年は誰? ユニコーン・シリーズのアイバーマシン? まぁ,そんな詮索はどうでもエエか.
  • チャイルドどらごん「所詮この世は夢幻し.だったら面白い夢を見た方が勝ちだ.ようこそ,迷宮へ」.お邪魔しますぅ〜.
  • Engine II 改め「コドモ大トカゲ」は「子供大トカゲ」が正しいらしい.船体にデカデカと「子供」と,「へこ印ラ〜マ」よろしく書いてある.吹き出す.
  • イケメン司令に女性オペレータというのは定番パターンなんだろうけど,チャイルドどらごんの下には,左がディスカウントうりぼう,右がフライングばにー.
  • ミトラノームを保護する衛星軌道用防衛武装艦とやらの名前が "Winterreise"*2 なんだと.なぜにシューベルト (笑),なぜに『冬の旅』(爆笑).やっぱ,ミシンと蝙蝠傘だなぁ〜.
  • というわけで,チャイルドどらごんは「冬の旅」に「子供」を停船させ,乗り込んで内部から破壊する腹積りだそうです.
  • 視聴者用に,チャイルドどらごんの解説中,ユニオン側司令部三人の帽子がひょいと上がって菱形ディスプレイが現われるのは面白いアイディアだと思うねぇ.
  • 一方のメロスの戦士側,ニックが作戦を説明していたけど,たぶん視聴者はそんなん聞いてないよ.「ココ,寄り過ぎ,飲み過ぎ」だし (笑).まほろばシステムと直結してるらしいニックとクロンがあくまで沈着冷静に作戦を進めようとしているのに対し,肝心の戦士が, 1) はしゃぎ過ぎ, 2) 勝手が分からずエポケー中, 3) なにやら蟠りを抱えて苦悩中,ってのも可笑しいな.
  • 戦闘開始.お〜,今までの猿人総出演! 算盤猿人に鮒漕ぎ猿人に弾薬装填猿人.
  • チャイルドどらごんの「ないない」で気付くべきだったが,ディスカウントうりぼうの「出番出番」の繰り返しは,ほんっとに可笑しいな.「おおっと,独り言独り言」.短句の繰り返しやショットの繰り返しは,ここではひじょうに効果的だよね.
  • おお! 猿人電卓は文字も描画できるのか.案外と高解像度なのね (あ?).
  • いやぁ, 林檎箱 以来,ボッカとココはすっかりお笑いコンビだな (笑).
  • 同じ繰り返しでも遠音の「耳が痛い」は判りやすい.
  • バイオ・コンツェルト,もうバカバカしくって最高! せいぜいちょろっと出てくるだけかと高を括っていたら,延々とほぼ 2 分近くやってたよ (笑).耳なし芳一の護符みたいなもんかと思ったら,それだけじゃなくてアイバーマシンとの同調機能もあるようですな.ただし, 制限時間は最大 37’33" のは既知の他に,塗り直しやなんたらで最低 9 分のブランクが必要らしい.時間制限付きか.容器に曰く「CM でおなじみ ベタつかず,心をとろかす塗り心地 鳴り響け!ぼくのバイオ・コンツェルト」だって (爆笑).ドイツ語の Konzert には古用法で「協調」とか「協力」という意味があるのね.遠音「前は自分でできるぅ」,脚本は遊んでるな〜 (笑).まぁ,要するに一人で闘っても無駄,単独で悶々としてても埒が明かん,かといって過剰な単独プレイはご法度,オケを佳く聴いて,ってなことですかね.カラヤンとリヒテルみたいに喧嘩してるのもスリリングでエエんだけどね.
  • 影絵がこんな風に使われるとはねぇ〜.『ウテナ』もびっくり,影絵オペラのコンスタンツェもびっくりだな (笑).より判りやすさアピールし易さを追求した結果,かな (違う).
  • んで,発動は「バイオ・コンツェルト!」と叫んで,アイバーマシンのケツを矢でぴしゃり.こりゃまた露骨な.ものの見事に騎乗位だよ (笑).誰のアイディアか知らないけど,これを考え付いた人,思い付いた時に三本締したに違いない.
  • フライングばにー「(呆れて) 鳴り響け,あたしのメロスぅ〜? 音が伝わんない真空の宇宙空間でぇ〜?」 チャイルドどらごん「まったく非常識な連中だよなぁ〜」  フライングばにーさん,ナイスなツッコミといいたいところだが,これは疑似戦闘シーン,カフカ的戦闘,演劇的戦闘だから,非常識なのは当たり前なんですよ,たぶん.というか,如何の如きメタ発言をも許容しうる脚本ってことかな. チャイルドどらごん「んじゃ,そろそろサイレント作戦の本当の始まりだな〜」.次の台詞が聞き取れん.「ダワー・ミサイル発射!」って言ってるのか?
  • 上半身裸で躊躇っていたボッカ,ココの時間制限が近いのもあるが,内なる小夜子*3の声に導かれて,ようやっと出陣.ううむ,ついにボッカも五円玉*4になってしまったか.コイトスだもの,そりゃ「暖かい」だろう (笑).遠音は未だに,いじていと,じゃなかった, hesitate のまま.で,次の,噴煙の中からボッカが現われるシーン,エラン・ヴィタールの上に十字立ちなんだよ.もう大笑い.やめて〜,堪忍して〜.チャイルドどらごん「メーター背負った,ぶわぁかが!」.あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ.このポーズなんだろうな,『イーリアス』かな.ボッカの「ふら〜〜〜〜っしゅ!」は敵ミサイル串刺しか. 2 回とも 7 本か.
  • ココ,時間切れで一旦退場.猪突猛進娘ディスカウントうりぼう,出陣.ひゅ〜ひゅ〜.ん?「ジャスト・フィット・リブ (ヴ)」? 肋骨縛りなのか.
  • どしぇ〜,まだ出てくるか! ディスカウントうりぼう「牙が疼くねぇ.ブースト! フースト! ウースト!」*5 た,たまらんっ! 「Viva, Viva, Viva, Viva, Viva, Viva, Viva, Viva」
  • へ? ココ,時間切れかと思ったらトイレ落ちかよ (笑).遠音未だ hesitate 続行中.ココ「ね,スカイブルー,遠音は__を君に知られたりするのが恥ずかしくて闘えないんだって」.目的語はなんだ? 無音だぞ.あん? 月,紅い月なのか.耳だけじゃなくて,お腹も痛いのか.ヘルマプロディートスかと思ってビビったではないか (笑).
  • ようやく遠音も出陣を決意.んだが,ここでの遠音とスカイブルーの会話が,わははは,まさに新婚神魂合体だね.で,めでたく三人とも五円玉*6
  • 遠音「あいつ (ディスカウントうりぼう) は,あたしに任せて」 ココ「お友達?」,まだ笑かす気か〜っ!
  • 遠音は「ストレート・フラッシュ」なんで,スリー・カードよりも強い.哀れブースト,フースト,ウーストは豚児三兄弟.この後がまた露骨でさ〜,一戦終えた後の汗まみれのシーツみたいでさ (笑).水玉が飛んでんの,水滴が.おめぇ,こいつの成分を述べてみろ,とツッコミたくなりますな.遠音の顔付きがまた虚脱感にあふれてるし.
  • 次回予告.今回頭で出てきた紋次郎少年も交え,戦闘現場をミトラノーム内部に移動.これで 1 回,最終決戦で 1 回,んで,まほろばには帰還機能がないので.「子供大トカゲ」を奪って小夜子の元に帰還,で全 24 話完結だが,まさか,こんなストレートには進むまいな桐璃.

 高度とエロ度とギャグ度は比例しているようだ (あ?).悪い癖だとは自覚しているんだが,この明らさまなエロさは実は何かをカモフラージュするものじゃないかという疑いを捨て切れない.ま,次回のベクトルとはまったく違う方向を提示して差異を際立たせる,第一主題の復帰を用意する,例のカー・ウォッシャーならぬ erotical shower,余裕かましてファン・サービスとか.その実,終わりが近いので,ここぞとばかりスタッフが暴走してたりとか (笑).まぁ,穏当にというか単純にというか,手垢の付いた表現だが破瓜体験=通過儀礼とでもしておくか.これだとカモフラージュのように見えるが,実は第一主題の変奏ということになるしな.

 メロスの戦士のキメ・ポーズは地上も宇宙空間でも変わらんのな.ボッカが赤面するのも同じだ (笑).コスチュームが違うだけか.ただ,遠音はちょっと違ってたような.気のせいかな.

  TBS の方では収録話が判らんのだけど, Gainax 公式サイト 見てたら DVD 情報が載ってて,どうも問答無用で 2 話ずつにブッた斬られて売られているようですな.なんで,こんなパッケージの作り方売り方をするかね.部構成は 2 + 3 + 3 + 3 + 3 + 3 + 3 + 4 (?) ってなってんだろ,そのとおりに切って売ればエエじゃんかよ.ま,最後は 2 * 2 でもエエけどさ.音は LPCM らしいけど, DVD の画質っつったって,そんなにレート稼げるわけじゃないんだから,片面二層にして 3 話入れたってダイジョブだろ? これじゃ,各部泣き別れじゃねぇか.やっぱ自分で焼くしかないか.

更に追記:2004.09.02a

 流転さんという方から,メールで 「放蕩オペラハウス」さんと言うサイトで読んだことなのですがバイオコンツェルトの缶の成分のところに小さくシナジックエナジーやらザペイパー(!)やら書かれているそうです との指摘をいただいた.ワダツミさんの 放蕩オペラハウス は巡回コースに入ってるんだけど,ピンポイントとアンテナ経由は別として,巡回の頻度が最高で 1 日 1 回と粗いのと,ここで書いてるヤツに関しては,自分のを書き上げて揚げるまでは他所さまを読まないようにしているので,気付かなかったわな.

 RD-X3 -> Aquos だと「ザ・ペーパー」しか読み取れなかったので, MTV3000W のキャプチャ・ファイルの方も見てみた.

商 (製?) 品名
バイオ・コンツェルト・ジェル
内容量
120g
生産国
カンボジア
原材料
オーガニックエナジー,メロスの〓 (素?),ザ・ペーパー,アルミニウム 7003,チチ?,ビーズリックス? この行に書かれているのはほとんど読み取れん.

 「オーガニックエナジー」ってのは富野由悠季 原作 / 監督の『ブレンパワード』 (1998) という作品に出てくる用語らしい.「生命の持つ力、有機的な力」だそうな.エラン・ヴィタールならぬ "élan vital" っぽい?(笑) 「ザ・ペーパー」は J. C. Staff 繋がりで R.O.D -THE TV-*7 に出てくる読子・リードマンのコード・ネーム.本の山に埋もれて生活している羨ましい人 (笑).って,をいをい,読子さんが「成分の一部」ってどういうこったよ (笑).

  • ↑はハイパスをいじったもの.

  • ↑こっちの画像は無加工.

 その反対側の記載は「即効性」ぐらいしか読めんな.「即」は「速」かも知れん.というか,よく見たら部首は「しん繞」か.

更に追記:2004.09.02b

 4 号ちゃんってのは「もう〜,もう〜」ちゃんではなくて,冒頭でぴょんこぴょんこしてた「ユニコーン・シリーズの妖し気な紋次郎少年」らしい. 070-アーステイル-呼出し中 から 忘却の旋律 THE MELODY OF OBLIVION 第8部 圏外圏編 第21話「圏外圏」其の弐 少し追記 より.とすると「もう〜,もう〜」ちゃんはナナミ牛ではなくてナナシ牛だ.少なくともエンディン・クレジットには出てこない…… あれ? 紋次郎少年に台詞あったっけか? ざっと観 (聴き) 返してみたけど「ふんっ」とか「!」とかの掛け声しかないな. 4 号ちゃんってば, null-A じゃなかった「成恵の世界」の第 2 話だったっけか,あそこの劇中劇に出てきた 4 号ちゃんしか知らんなぁ〜.だがしかし (© 大槻ケンヂ),スカイブルーの開発コード名は「モノケロス 11 号」だったな.ニック,クロン,ヒカリは不明だが.

更に追記:2004.09.04

 「資質なきものには,聞き取れません」 © クアンジッタ・マリスン.なので, 070-アーステイル-呼出し中: 忘却の旋律で聞き分ける。見分けてみる? を読むべし. 4 号ちゃん <-> 「冒頭でぴょんこぴょんこしてたユニコーン・シリーズの妖し気な紋次郎少年」で確定らしい.ってか,「ふんっ」と「!」で聞き分けられるって,凄いね.何事も極めれば花.

 更にダメ押し.直リン不可なんで,コピペして行っとくれなはれ. http://www.jcstaff.co.jp/java/bou/story/22.htm ここにしっかり「ミトラノームの中で覚醒したユニコーンシリーズ・モノケロス4号」と明記してあるがな.

 でも,おれ的にいちばん驚いたのは,このフレームのソースだ.ストーリー紹介のサブ・ウィンドウを開く JavaScript のソース.「話数分の関数を用意している」なんて恐ろしい作りであるのは,この際どうでもエエ.問題はその関数の数だ.なんと, 26 個ありますぜ.これって, J. C. Staff のページでは 26 話分用意していることじゃん.あ,もちろんアップロードされてるのは次回の 22 話までね.いったいぜんたい, 24 話 / 26 話,どっちなんだ〜! ちなみに, しょぼ cal : 忘却ページ では全 24 話扱い.

 几帳面に作品番号降ってたとすると,少なくとも 11 体のユニコーン・シリーズが存在するわけですな.って,ここでも「op. 11」の かよ! んで,ペガサス・シリーズが少なくとも 1 体 (エラン・ヴィタール).どうも,ウマを祖形とする幻獣を名称に使うという仕様があるのかな.ユニコーンの反転系の バイコーン (bicorn) とか 水馬 ケルピー (Kelpies) とか.オシツオサレツ・シリーズなんてあったりして (読み筋はヒュー・ロフティング=井伏鱒二).海馬 (タツノオトシゴ) シリーズは,乗るのに苦労しそうだな.海馬 (hippocampus) だと,そもそも,どうやって乗るんだ (笑).

 伯楽天が見いだすのは名馬だが,馬には「時として人に優った特性あるのもあ」り,優れた働きを成す馬は,「人以上に好遇」され,「はなはだしきは敵味方とも,これを神と視て恐れ崇めた」*8という.賢さ,忠実さを始め「驢の忍耐強き,馬の悍強き,騾の頑牢なる」*9なるイメージは,性的なものも含め,比較的無傷で現れているように思う.

*1: もちろん,んなことを真顔で言えるほど数観てるわけではないので,単なる賛美表現としておいてください.

*2: フィッシャー=ディースカウさん各種,プライさん各種,ホッターさん,ヘフリガーさんぐらいしか聴いてないけど,フィッシャー=ディースカウさんがバレンボイムさんと組んだグラモフォン盤が好み.ブリギッテ・ファスベンダーさんのメゾ版も持ってるけど,いささかオペラティックに過ぎると思う.

*3: 声だけとはいえ,今回でも小夜子は 2 回登場する.やっぱ,あのまま引き下がるとは思えんな.

*4: 栗本慎一郎 "幻想としての経済", 青土社, 1980, 1984, p. 113.

*5: 飯沢匡 脚本の人形劇「ブーフーウー」.

*6: ibid.,

*7: OVA の 制作 はスタジオディーン.

*8: 南方熊楠 "十二支考", 南方熊楠全集第 1 巻, 平凡社, 1971, p. 227

*9: ibid., p. 263.

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